ポルトガル ブサコパレス お城ホテルポルトガル ブサコパレス お城ホテル

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Why :おすすめのポイント

ポルトガル最後の王・マヌエル2世の離宮

ポルトガルには古城や王宮、修道院など歴史的建造物を改装したホテルが30軒以上あり、それを「ポサーダ」という総称で呼んでいます。ポルトガルの「ポサーダ」だけではなく、世界の宮殿ホテルやお屋敷ホテルは数あれど、本物の王様が暮らした城に泊まれる古城ホテルはとても稀少。
ブサコパレスは、最も豪華なポルトガル王室の離宮のひとつで、1888年に時のポルトガル王、チャールズ1世(1863年~1908年)の命により造られました。
しかし最も頻繁に使っていたのはポルトガル最後の王であるマヌエル2世。250エーカーもあるポルトガルの国立公園である「ブサコの森」での狩りのタイミングで滞在していたと言います。
「ヨーロッパ旅行するならお姫様気分でお城にとまりたーい」なんていう夢を描いている空はもちろん、ヨーロッパの歴史が好きな方にもたまらない魅力があるはずです。
ポルトガル旅行の旅程の中に、このホテルでの滞在を入れるだけで、グンとテンションが上がります。旅をゴージャスにさせてくれるアイテムこそ、このブサコパレスです。

ブサコワインのワイナリーでテイスティングも可能

ブサコパレスの地下にあるワイナリーは、かつてのポルトガル王族のためだけに造られた門外不出のワインが貯蔵されています。2連泊すると2日目は希望によりワイナリーでのテイスティングも可能。新しいものから、ビンテージの貴重なものまで、多くのワインに囲まれた、時の流れが止まったようなワイナリーで過ごす時間は、ここだけの忘れられない体験に。チーズなどの軽食も出され、ビンテージと比較的新しいものと、時代別に瓶をあけ説明してくれます。

味が気に入って、筆者はハーフボトルの赤ワインを購入。ハレの日にと思い、お正月に明けたその味は赤ワインなのに少しすっきりした飲み口で、とはいえ軽すぎず、まろやか。あの日感じた飲みやすさと、あの城の思い出を蘇らせてくれました。

ワタシは姫!その気にさせるスイートルーム

ブサコパレスはポルトガルの最高級ホテルでありながら、他のヨーロッパ諸国の古城ホテルと比較するとかなり良心的なお値段。シーズンオフ(冬など)は驚くほど値段が下がるため、ここではスイートルームを予約しましょう。
ブサコパレスには4つのスイートルームがあります。
スイートルームはそれぞれ異なるインテリア。古城ではありますがもちろんWiFi完備。しっかりとしたデスクを備えた書斎もあるので、古城にこもってワーケーションや旅の記録を残すなど、文豪もうらやむ滞在もよさそう。周囲には森しかないので、間違いなく仕事がはかどります。
広々とした浴室には大きなバスタブがあり、旅の疲れを十分に癒し、アンティ―ク家具の配された大きめのリビングルームで、のんびりとティータイムを。

スイートルームの中には、ポルトガル王朝時代そのままのアンティーク家具の客室があり、ベッドの縦の長さが異常に短いスイートルームもあります。
「短い!」「大きな男の人、どうやって寝るの?」と騒いでしまうほど。

これには理由があります。ヨーロッパ各国の王は、敵が来てもすぐに戦えるよう、完全に横になる事はせず、身を起こしたまま寝ていたのだそう。
背の高い男性は旅の疲れが取れないのでお勧めできませんが、女性はなんとかいけそう。

これぞ宮殿!素晴らしいダイニングでいただくフルコース

お城でのディナーと言えば、シャンデリアが灯る美しいダイニングでいただくフルコースのお料理。

ブサコパレスのダイニングも素晴らしい天井の細工をテラスシャンデリアの下、ポルトガルの名物や、ブサコの森近くの名物料理「子豚の丸焼き」がいただけます。

ポルトガル人は「美味しいパンとスープがあれば、何もいらない」というほどスープを愛しすぎる人が多いことでも知られていますが、そのため種類も多く、どのスープも素材の味が生きています。ブサコパレスで宿泊した日にいただいたスープはトマトベースでしたが、深みのあのある、長旅の疲れを取るほっとする味わい。

また、大航海時代に船の保存食にするために生まれたポルトガルの名物「バカリヤウ(タラの塩漬け)」のグリルも供されました。
ポルトガル料理はシンプルな味付けの料理が多く、日本人がポルトガル旅行をすると違和感がなく「胃袋を掴まれる」ことが多いそうで、それを身をもって体感できました。

〆にはリゾット、というのも嬉しい限り。

デザートは、ポルトガルが発祥であるナタ(エッグタルト)も。
一切他国の味が入らない、ポルトガル郷土の味を提供してくれるシェフの心意気に感動します。

朝食にはスパークリングワインが飲み放題~!

ポルトガルは4つ星ホテルあたりから、朝からスパークリングワインをフリーフローで飲ませてくれるホテルが多いのですが、当然、ブサコパレスも出ます!
またポルトガルのホテルの朝食は、ナタを始めとした卵を使った甘いお菓子や菓子パン、パンドケーキがずらりと並び、スイーツ好きにはたまらないだろうなあ、と思う節があります。その中にわずかにあるベーコンやソーセージ、卵料理をゲットして、スパークリングワインのお供にすべし!朝からワインこそ、休日の喜びです。
美味しいお菓子や甘いデニッシュはデザートとして、最後にコーヒーと共にいただきましょう。

支配人公認とっても優しいメイドの幽霊が2人

日本では「このホテル、幽霊が出るんだぜ!」と言うと、営業妨害と言われますが、堂々と話してくれるのがヨーロッパとの文化の違い。
支配人さんが、友達を褒めたたえるように「当ホテルには心の優しいメイドの幽霊が2人ほどおります」と自慢してくれました。

え?ちょっと待て、出るんかーい(出そうだなとは思ったけれども!)!

風もないのに突然窓がぎぃいいいと開いたり、恐かったのでつけっぱなしにして寝たテレビが、夜中にふと目が覚めたら消えていたことを考えると、様子を見に来てくれて、つけっぱなしのテレビを消してくださったんですね…。
あ、ありがとう。

ライター 吉田彩緒莉

Writer's Comment

Writer's Comment

ワイン大好きな筆者。ブサコパレスでのワインテイスティングやディナーでのワイン、朝食のシャンパンを経て…お城泊を喜んでいたはずが、いつしかこのお城の持つ「ワイン」の側面にやられてしまっていました。そのワインの味をより引き立ててくれたのは、建築美!ゴシック建築に華やかな可憐さをプラスしたような、ポルトガル独自のマヌエル様式の城は建物そのものが芸術品のようです。王族が滞在したというスイートも想像していたほどの豪華さはなく、暖かみのある可愛らしい実用性のあるお部屋。マヌエル2世はこんなお部屋で狩りでの滞在を楽しんでいたのか…としみじみ。 しかーし!このお城にはとっても優しい2名のメイドさんの幽霊が出るそうで、若干「出そうだな」と電気とテレビをつけっぱなしにして寝ていたところ、テレビだけ消えていたという事件がありました。ありがとう…メイドさん。 ついでに言うと、階段の踊り場に佇む甲冑の騎士は夜になると目が光ります。あのう、恐がらせるためとしか思えない演出なんですが…。

byWritten by 吉田彩緒莉 Saori Yoshida

What :ブサコパレスについて

ブサコパレスは、ポルトガルの世界遺産「コインブラ大学 アルタとソフィア」で知られるコインブラからほど近い国立公園の深い森の中に佇んでいます。

1888年に当時のポルトガル王、チャールズ1世(1863年~1908年)の命により造られた離宮は、まるでレースを思わせる優美で細やかな装飾が施されたポルトガル独自の「マヌエル様式」。大航海時代に栄華を誇ったポルトガルで誕生したこの建築様式はリスボン・ベレンの世界遺産「ベレンの塔」や「ジェロニモス修道院」など数々の世界遺産に使われてる建築様式です。

エントランスに足を踏み入れれば、こちらもポルトガルで独自の進化を遂げたタイル「アズレージョ」に描かれた、数々のブルーの絵が目を奪います。「アズレージョ」に描かれる絵は、その地で起こった出来事やポルトガルの歴史にまつわること、昔のポルトガルの人々の生活など。
ブサコパレスの「アズレージョ」は当時の人気作家のものもあり「世界一美しい駅」と言われるポルトのサン・ベント駅のアズレージョを手掛けた作家も参加しています。ナポレオンが率いる軍を、ここブサコの地で遮ったという歴史的な瞬間も描かれていました。

また、ブサコパレスには閉鎖された修道院、カルメル会修道院の跡地があり、ミステリアスな佇まいの一翼を担っています。修道女たちの部屋のあとに造られた客室も。

ブサコの森とポルトガル王室の歴史にどっぷりと浸らせてくれるホテルです。

How :過ごし方

ポルトガルは、縦に長い国。リスボンからポルトまで鉄道旅行をしながら、その途中で立ち寄るのがおすすめ。
できれば2泊してほしいので、2泊の過ごし方を

1日目
世界遺産のコインブラ大学を見学し、ローカル列車で約30分Mealhada(メアリャーダ)駅到着。

14:00頃チェックイン
素晴らしいお城をどこから撮影したらいいかわからないけど、時間はたっぷり。まずは荷解きの前にスイートの客室の写真を撮影。ホテルあるある、チェックイン時が一番美しい
15:00頃 ゆっくりバスタイム
慌ただしいポルトガル旅行の中、やっと取れるホテルステイの2日間。バスタブをお湯で満たしお姫様気分でバスタイム
18:00頃 ドレスアップしてダイニングでディナー
20:00頃 ラウンジでのんびりとお酒を楽しむ
22:00頃 しずかちゃんかよ!もう一度バスタイム
24:00頃 就寝

2日目

7:00頃 ゆったり朝のバスタイム
8:00頃 シャンパンブレックファーストをのんびり楽しむ
11:00頃 ブサコの森の遊歩道をお散歩
13:30頃 軽めのランチをダイニングで
15:00頃 城内の写真を撮りまくる
16:30頃 スイートのお部屋のリビングでまったりティータイム
18:00頃 ワイナリーのテイスティングに参加
20:00頃 ディナー
22:00頃 名残惜しいのでラウンジでブサコワインをもう1杯
23:00頃 バスタイム
24::00頃 就寝

3日目

6:00頃 バスタイム
7:00頃 朝のブサコの森をお散歩
9:00頃 シャンパンブレックファースト
10:00頃 部屋に戻ってパッキングと身支度
12:00頃 チェックアウト

ほらね…あっという間。
この後は再び、ポルトかリスボンに向かって観光を楽しむのです

Who :どんな人におすすめか

周囲には何もないので、観光メインの旅行と短期旅行者にはお勧めできません。

ホテルでまったりしたいハネムナー、お城で旅の疲れを癒したい素敵ご夫婦、お姫様になりたい女子旅、ヨーロッパの歴史に触れたい男性旅、感動をひとり占めしたいひとり旅など、ヨーロッパのお城を満喫したい方と、このホテルに泊まることが旅の目的になる方にお勧めしたい。

この環境のせいか、日本からの旅行者は1泊滞在のゲストが非常に多いとのこと。何もないからこそ、2連泊以上できる余裕のある日程で出かけていただきたい。連泊するだけで「あの日本人、わかっているな」なんていう目でみられそう。

When :いつ行くのが良いのか

ブサコパレス目的の旅であれば、オールシーズンがベストシーズンです。

その理由は、冬のヨーロッパは極寒のイメージがあるものの、ポルトガルは別。真冬と言われる時期であっても、薄手のコートで良いほど温暖。凍える寒さは皆無です。
筆者が滞在したのは2月でしたが、ポルトガルは異常気象のため、昼は汗ばむ暑さでしたが、ブサコパレスは首都リスボンとは異なり山の中。夜は日本の晩秋くらいの寒さにはなりました。
ポルトガルのピークシーズンはヨーロッパの夏のバカンスシーズン(6月~8月)で、ブサコの山も避暑地にはなりますが、ホテルにプールがないので特に夏に行く必要はなし。ただし、ポルトガルはそんなに広い国ではなく、次の移動地は海、という人は夏が良いでしょう。

ポルトガルの四季は日本とあまり変わらず、春は3月~5月、夏は6月~9月、秋は10月~11月、冬は12月~2月という感覚で、雨が多くなるという10月~11月以外は、全てベストシーズンと言えます。しかしブサコパレスに泊まるなら、周囲に何もないので特に天候は気にするこはないでしょう。雨の怪しい雰囲気も、このホテルでなら味わいたいものです。

Where :場所・行き方

ポルトガルは、縦に長い国。リスボンからポルトまで鉄道旅行をしながら、その途中で立ち寄るのがおすすめ。
首都リスボンのオリエンテ(Oriente)駅からコインブラ(Coimbra)駅
コインブラ駅から出るローカル線でメアリャーダ(Mealhada)駅
ブサコパレスに事前に電話をしておくと、メアリャーダ駅まで迎えに来てくれる(有料)

面倒であれば、ブサコパレスに宿泊する旅行会社のツアーも。連泊アレンジができる旅行会社がおすすめ

注意すること

◎古城ホテルに泊まりたいという人はあらかじめ覚悟はできていると思いますが、「高級ホテル」とはいえ、リッツカールトンやマンダリンオリエンタルホテルのような、全世界レベルのチェーンとは異なります。
何人もドアマンやベルボーイが待ち構え…という環境ではないのでそこは目をつぶること。

◎客室によってはダイニングなどの移動がアウトドアの廊下を通ることがあります。雨の日は傘がいる場所も。

◎19世紀に造られたホテルです。段差もあり足元に注意をする必要があります。またお城のイメージがベルサイユ宮殿のようにキラキラしすぎていている人は、ちょっとイメージが異なるかも。

◎リスボンやポルトから電車を乗り継ぐこととなり、英語のやり取りができ、ある程度旅慣れている人以外は、ブサコパレス泊が含まれたツアーで旅行するか、ネットなどで予約できる送迎サービスを使うなどしましょう。

最後に

ブサコパレスは建物自体は国が所有する国宝級の歴史的建造物。ゴシック建築が好きな人なら、ポルトガルで昇華したマヌエル様式の美しさにほれ込んでしまうことでしょう。
ポルトガルの王族が過ごした重厚な空間、城内を彩るブルーの「アズレージョ」、美しい庭園、漆黒の森…夢に描いたようなおとぎ話の世界の「森の中の城」での滞在は、海外旅行以上の非日常感を味合わせてくれます。
日本の4分の1の面積に17もの世界遺産を有し、絶景だらけと言えるポルトガルではアクティブに動く行程の日も多いはず。観光で動く日と、ホテルでのんびりする日のオン・オフに分けるなら、夢に描いたポルトガル王の離宮で「ヨーロッパの城に泊まる」というある種の観光と、リラックスの時間を作っていただきたいものです。

ブサコパレス基本情報

所在地:Mata do Buçaco 3050-261 Luso – Coimbra – Portugal
電話番号: (+351) 231 937 970
アクセス:メアリャーダ(Mealhada)駅からホテルの送迎車(有料)で約20分
公式HP:ブサコパレスホテル

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