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初心に宿る第2回『ドブネズミを助ける』

皆さん、こんにちは。トラベル・スタンダード・ジャパンの代表です。

「初心に宿る」という生き方について紐解くシリーズ、第2回です。
前回、コラムの最後で「どうやって初心を身体に宿らせるのか、具体的なアプローチをお話しする」と予告しました。

その方法はとてもシンプルです。
「(仕事や勉強には全く関係ない)些細なことから始めること」です。

おすすめの1つ目、「ゴミを拾う」こと。
自分が落としたものではなくても、目立つゴミは拾う。
飲食店で自分で床に落としてしまったとしたら、サッと拾う。
愛犬の散歩中限定ですが、特にドッグランでは、飼い主が目を離した隙にウンチしてしまう犬も多いです。それを誰が拾わなかったという不満を言うより先に、自分も見逃す可能性もあるからと思って、すぐに拾うのです。
「自分の責任じゃないから」という脳の言い訳を許さないためです。

もう1つのおすすめ、「すぐ書き留める」こと。
ふと、革新的なアイデアを思いついたとき、「絶対に忘れない」「すぐやるからメモしなくていいや」と思った矢先、別のことに気を取られたり、些細なキッカケで跡形もなく忘れてしまい、猛烈に悔しい思いをするという経験は誰にもあるかと思います。
だから、そういうことが起きないようにその場で言い訳せずにメモに残すのです。

こうした日常の小さな行動の積み重ねが細胞を書き換えていくのですが、頭では分かっていても、いざという時に「自分の弱さ」に負けてしまうこともあります。

ここからは、私が強烈に後悔し、そこから這い上がった少し個人的なエピソードをお話しさせてください。

以前、旅行先で車を運転していた時のことです。
道路上に、一匹の柴犬が轢かれて倒れていました。
私はそれを見てハッとしましたが、すでに動いてないことや交通量が多かったことを理由にして、そのまま車を通り過ぎさせてしまいました。
すれ違いざま、その子と目が合ったような気がしました。

「もしかして、今すぐ急いで助ければ、まだ命は繋ぎ止められたのではないか……」

車を進めながら、「やはり戻ろうか」と何度も葛藤しました。しかし結局、私は「もう仕方ない」と自分に言い聞かせ、戻ることはありませんでした。

この時のどうしようもない自己嫌悪と後悔は、今でも私の心に重く突き刺さっています。

「次こそは、絶対に見て見ぬふりはしない」。そう心に誓って過ごしていたある日、挽回のチャンスが訪れました。

小道で、一匹のネズミが倒れていたのです。おそらく殺鼠剤を食べたのでしょう、いわゆるドブネズミです。
私が遠目から見ていると、通りかかった親子連れのお母さんが「汚い!」と言って、子供が踏まないように避けていきました。子連れのお母さんなら当然の行動だと思いつつ、人間のエゴによって、倒れているネズミが可哀そうで仕方ありません。
そのままでは、確実に通りかかる車に潰されてしまいます。私はとっさに自分のマスクで、そのネズミを包み込んで救出しました。

手のひら越しに、まだ少し体温が残っているのが分かりました。急いで動物病院に駆け込みましたが、残念ながらすでに命は尽きていました。
病院からは「当院で処分する場合はゴミ箱になります」と言われました。それではあまりに忍びないと思い、私は葬儀場に連絡して引き取ってもらうことにしました。
ねずみ君に対して、私なりの最大限のことができたことで、ずっと胸につかえていた柴犬の時の澱(おり)が、少しだけすっきりした気がしました。

そして、その次。
夜の運転中、車通りの多い道のど真ん中でした。猫かと思いきや、タヌキが倒れていました。
反対車線でそれを見た私は、今度は一切の躊躇なく車を止めました。車にあったタオルを片手に駆け寄ると、口から少し出血しており、すでに反応はありませんでした。
命を助けることは叶いませんでしたが、タオルで包み、これ以上轢かれないように歩道へ避難させました。そして警察に通報し、引き取ってもらいました。警察官がパトカーで急行してくれたのですが、伝染病の懸念から個人情報を聴取されている間、通りがかりの人からは何かやった人という目線が突き刺さりましたね…汗

なぜ、こんな話をしたのか。
私が皆さんにお伝えしたいのは、「1回で完璧にできなくても、決してめげないでほしい」ということです。

すぐに正しい行動ができなかったとしても、人生には必ず「次のチャンス」が巡ってきます。その時こそ、逃さずにモノにしてください。
その1回の挽回が、その後の確固たる「習慣」に繋がっていきます。何度も葛藤し、何度も挑戦する。そうやって少しずつ、初心は『宿って』いくのです。

「1回失敗してもめげず、次のチャンスで挽回すること」です。

エレベーターの到着を待つ間や、エレベーターの中にいる時間。あるいは、駅のホームで次の電車を待つ、あのちょっとした「3分間」。

そんな皆さんの日常のアイドリングタイムに、またお会いしましょう。それでは、また次回。

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