代表メッセージ

皆さん、こんにちは。トラベル・スタンダード・ジャパンの代表です。
今回から、当社のコーポレートサイトで「代表メッセージ」というコラムを連載することにしました。会社のビジョンや旅行業界の未来という話から、私の個人的な趣味や愛犬の話まで、ざっくばらんに発信していこうと思います。
記念すべき第1回目のテーマは、私の人生の教訓であり、常に思考の最上位に置いている言葉「初心に宿る」についてです。
「初心に宿る」と聞いて、一般的には「初心に帰る(返る)」と言うのではないかと感じられたのではないかと思います。仕事で行き詰まったとき、あるいは大きな失敗をして壁にぶつかったときに、「あぁ、もう一度初心に帰ってやり直そう」と。
しかし、私なりに思考を深めた結果、ひとつの結論に至りました。
「初心とは、都合よく『帰ろう』として帰れるほど、甘いものではない」ということです。
普段はすっかり忘れているのに、先に進めなくなった時(=壁にぶつかった時)にだけ、「あれ、何だっけ……」と慌てて思い出しにいく。そんな『パスワード』のような距離感で扱っていいものではないと思うのです。私にとって初心とは、すべての行動や判断のベースとなる「最上位概念」です。日々の判断、一挙手一投足に、常に自動的に発揮されていなければ意味がない。だから「帰る」のではなく、常に自分の細胞に「宿っている」状態を作らなければならない。そう肝に銘じています。
たとえば、日常のこんなシーンを想像してみてください。
朝、家を出てしばらく歩いたあと、ふと「あれ? リビングの電気、消したっけ?」と不安になったとします。
この時、人間の脳はものすごく器用にできていて、瞬時に「都合のいい想像」で事実を補正しようとします。
『いや、毎朝消しているんだから大丈夫だろう』
『たしか靴を履く直前に、壁のスイッチを押した……ような気がする』
脳は極めて省エネな器官なので、わざわざ家まで引き返すという「労力」を回避するために、もっともらしい言い訳を瞬時に作り出すわけです。
ここで私が徹底しているのは、「頭の中の想像で処理せず、現場に戻って『事実確認』をする」ということです。
もちろん、ものすごく面倒くさい。引き返せば約束の時間にギリギリになるかもしれない。それでも戻ります。
なぜなら、「『ま、いっか』と確認を怠ったという事実そのものによって、自分の『習慣』が汚染されることが何よりも怖いから」です。
一度でも「確認しなくていいや(=想像で事実を書き換えていいや)」という妥協を脳に許すと、その甘さは確実にビジネスの現場にも伝染します。
「あの件、先方の担当者に伝わっている……はず」
「この数字、先週確認したから合っている……だろう」
現場を見ず、裏付けを取らず、希望的観測だけで動く。その小さな“習慣の汚染”が、やがて思考が成長しない頑固な頭をつくり、人間力が失われていってしまうと考えています。
逆に言えば、こうした微細な行動の積み重ねによって「初心」が完全に身体に宿ってしまえば、意識せずともすべての行動に正しさが伴います。「事実をもとに判断する」という基本OSが初期設定になれば、結果としてあらゆる物事が自動的にプラスに回転し始める。これが私の確固たる信念です。
では、その「初心を身体に宿らせるための具体的な工夫」とは、いったい何なのか?
ここから先は少々長くなりますので、次回以降、あらゆる角度から「いかに初心が重要であるか」を紐解くシリーズとして少しずつお届けしていきます。
エレベーターの到着を待つ間や、エレベーターの中にいる時間。あるいは、駅のホームで次の電車を待つ、あのちょっとした「3分間」。
そんな皆さんの日常の隙間時間に、ふと開いていただけるコラムになれば幸いです。それでは、また次回。